秋桜

追い越して行く夏の終わりに手を振る
泣いている街を抜けて 零れ出す空見上げた

暮れる夕日が染めていく
僕らの世界は息を止める

秋風吹いた 君の隣で
瞬く星に願いを掛けて
優しい嘘が途切れないように
繋いだ指を強く絡める

遠ざかる足音に灰を掛けて
立ち止まり踏みつけては
重なって夜に消える

俯いて見つけた見た事のない花が
そっと呟いた

秋風吹いて 君が笑えば
甘く揺れて香る黒い花
紡いだ糸がほどけないように
指切る小指に魔法をかける

間違ったのは君じゃなくて
僕でもなくて なんにも無くて
ただ 止まっていた時が動いた
見ないふりした季節が来ただけだ

秋風吹いた 君の隣で
甘く苦く香る黒い花
優しい嘘が終わらないように
指切る小指に魔法をかけた